小型ビニールハウスで農業実験するブログ。

小型ビニールハウスによる「小さな農業」を応援すべく、農業資材や野菜品種を試して情報発信します。

トマトの呼び接ぎ、2024年の失敗について。

以前、トマトの呼び接ぎについて追加の記事を書く事にしていたのですが、その内容は「2024年の失敗について」です。
勿論、活着率は100%だったので、失敗と言うのは苗質の部分になります。
筆者はここ5年くらい、トマトには呼び接ぎを採用していますが、今年になって欠点も多く見えてきたし、来年以降続けていくかどうか悩んでいる状態です。


それでは、筆者にとって理想的な2022年のトマト呼び接ぎから。
台木、穂木共に、本葉1枚目の位置で接いでいます。



この場合、穂木を切り離した際も自立し、安定感もありました。
そして、次が2024年の呼び接ぎ。
台木、穂木共に、子葉の位置で接いでいます。



穂木と台木の生育が揃わず、仕方なく採用した方法ですが、穂木を切り離した際に(台木が細く)自立できずに倒れてしまいます。
ちなみに、リサイクルした台木(本葉の位置)を使った個体は、2022年同様に安定して自立しています。



これを見て気付いたのですが、呼び接ぎで穂木切断後に自立するかどうか?は、穂木と台木のパワーバランスに左右されると言う事です。
台木は接木時に成長点を止め、穂木は成長点もそれ以外の葉も残っています。
接木時に台木が少し大きくても子葉1枚では、ほぼ損傷の無い穂木とのパワーバランスがあまりにも悪く、生育に大きな差が出る。
結果、頭デッカチになってしまうのですね。



ちなみに、スイカやキュウリのようなウリ科の場合は、(穂木に比べて)台木が圧倒的に強いので話は違ってくるのですが…。
トマトに関しては可能な限り台木の戦力(根、茎、葉)を残さないと、穂木に負けてしまうようでした。



余談ですが、筆者は手が滑ってブった切ってしまった穂木や、一部の個体で(断根を含む)割り接ぎを採用しました。
今回は呼び接ぎよりも結果が良かったようです。
割り接ぎは穂木の根が無い為、呼び接ぎと違って(細胞が癒合するまで)生育が止まる。
穂木と台木の生育バランスと言う点で、理にかなっているのかな、と思います。


筆者は一応、穂木が脱落し難い割り接ぎの方法を知っていますが、面倒くさいとか、難しいと言う人向けに「接木チューブ」が存在します。



確かに、コストは掛かりますが、作業性が良いので、初心者にもオススメできる資材ですね。


さて、呼び接ぎも慣れれば苦にならないし、チューブのような便利な資材も流通していて、接木作業自体は誰でもできるハズです。
ただ、何度も言うように、接木適期の苗(穂木/台木)を用意する事が最も難しいし、今回の失敗の原因もそこに尽きるのです。
分かっていても繰り返す失敗…、農業は奥が深いですね。


今回のまとめ。


  1. 穂木と台木が揃っている場合は、本葉1枚目の位置で呼び接ぎを行う。
  2. 台木 < 穂木は失敗だが、台木 > 穂木で穂木が追いつかない場合は割り接ぎを行う。


何事も、特定の方法に依存しない事が重要です。

キュウリ苗の二次育苗開始、今回は鉢上げ。

4月7日接木(断根挿し接ぎ)分の苗が活着→本葉展開になったので、鉢上げする事にしました。



この方法は呼び接ぎと違い、やや活着率が落ちる傾向があり、今回も3株死亡しました。

まぁ、台木に対して穂木が太かったので、穂木の脱落もあり、残りは接合部の接触不良かと思います。



活着分は、しっかり発根しています。

6cmの培地→10.5cmポットへのアップグレードで、今後生育がグングン加速していくでしょう。



ちなみに、もう一つ別の接ぎ方で接いだ個体も複数あります。

断根片葉切断接ぎと言われる、台木の片葉を斜めに削ぎ、同様に斜めに切断した穂木を合わせる方法ですね。



筆者はこの方法を、穂木が太過ぎ、台木に挿せない場合に(応急的に)使用しています。

この方法は作業スピードが早く、専用のチューブも開発されているので、家庭菜園でも採用例が多いでしょう。



筆者も昔はチューブを使用していたのですが、高価な上に使い捨てなので、コスパの点からクリップに切り替えました。

それでも、断根片葉切断接ぎをメインにしていないのは、初期の生育スピードが劣る為です。

しかし、作業スピード以外にも、胚軸径の融通が効く事や、支柱を立てて曲がりを防止できる利点もあり、売り切りの苗なら有りかもしれません。



さて、一通り鉢上げが終わったのですが、苗の傾きや胚軸長の調整(埋め込む深さ)を行いながらの作業なので、ハッキリ言って呼び接ぎ以上に時間がかかるかもしれない。

ただ、温床面積が少ない現状、活着まで省スペースで済む断根系接木に頼るしかないのも事実です。

ブロッコリー「翠麟」定植。

キュウリの接木がひと段落したので、この機会にブロッコリー(翠麟/トキタ種苗)を定植しました。

この品種は窒素過多で茎に穴が開きやすいので、基肥は抑え気味にしています。



72穴セルトレイ→6cmポットに鉢上げして時間を稼いでいたのですが、これくらい根が張ってくると年貢のの納め時です。

ちなみに定植場所は、カボチャの圃場なので、ブロッコリーにも古マルチを使います。

ブロッコリーの収穫が終われば、その場所にカボチャのつるが這う事になるのですね。



まぁ、秋どりの時よりは数が少ない(80株くらい)ですが、これも直売で捌く予定です。

そして脇芽は、飼い猫のキャットフード(おやつ)に…。