小型ビニールハウスで農業実験するブログ。

小型ビニールハウスによる「小さな農業」を応援すべく、農業資材や野菜品種を試して情報発信します。

トマト(TY秀福)の誘引開始。

定植後、しばらくトンネルで管理していたトマト(TY秀福/カネコ種苗)の生育が進み、倒伏するようになったので誘引を開始しました。



実は、2024年から試してみたい資材があったので、早速実戦投入します。
それがプラスチック製のトマトフック!



誘引用の紐を長めに巻いておき、茎の伸長に合わせて紐を繰り出せる優れモノ。
茎が長くなったら、その部分は摘葉して地面に這わせ、上部は横にスライドさせて持ち上げる事が可能。
つまり、軒の低い小型ハウスでも、段数を稼ぐ事ができるのです。


ちなみに、筆者は前述の方法で誘引する為、木片や洗濯バサミを使用して似たような器具を作ろうと試みたのですが、当時は上手くいかず、通常の直立栽培で妥協していました。
こんな資材があるなら、もっと早く出会いたかったですね。



そして価格も、他社の誘引資材に比べてリーズナブル。
エスター線でも、ダイソーのS字フックでも、上部から垂らした紐でも取り付ける事ができ、筆者のようにイボ竹+ダイソーS字フックでお手軽スライド仕様にしても良いです。


このトマトフックのおかげで、カネも掛かって樹勢低下のリスクもある「斜め誘引」を検討する必要はなくなりました。
本当にありがたいですね!



今日は忙しいので、生育の遅い畝は残して作業します。
残りは明日やる事にしましょう。

図解: ナス科野菜の「穂木が脱落し難い!」割り接ぎ。

今回は少々古い画像(2022年?2021年?)になりますが、ナス科野菜の割り接ぎについて解説したいと思います。
筆者の場合、一般的な割り接ぎは穂木の脱落(台木から抜け落ちる)が多いのが悩みで、一時期チューブに頼った事もあるのですが、穂木と台木を呼び接ぎの接合部に近づくように成形する事で解決しました。
以下の写真はトマトですが、ナスやピーマンも同様の方法で接ぐ事ができます。


まず、台木は本葉の付け根で上部を切り落とし①、本葉の葉柄の反対側を斜めに削ぎ落します②。
その後、②の切り口の頂点部分から、やや斜めに切り下げます(割る)③。



穂木は上部を切り取った後①、胚軸の片側を斜めに切り落とします②。
切り落とした頂点部分から、やや斜めに切り上げます②。



成形した台木と穂木を噛み合わせます。
台木の(接合部から出ている)本葉の反対側からクリップで固定します。



その後の管理は、チューブで接いだ場合と同様に行います。
以上です。


この方法は少し手間が掛かりますが、穂木部分にアゴが付く事で、クリップの食いつきが良くなり、穂木が脱落しにくいです。
また、切断面の接地面積が増える為、癒合した際により強化な接合部となります。


通常の割り接ぎは穂木の切断面がクサビ型なので、割った台木の圧で押し出されやすいのです。
難度か試したけど上手くいかない!、と言う方は是非お試しください。

トマトの呼び接ぎ、2024年の失敗について。

以前、トマトの呼び接ぎについて追加の記事を書く事にしていたのですが、その内容は「2024年の失敗について」です。
勿論、活着率は100%だったので、失敗と言うのは苗質の部分になります。
筆者はここ5年くらい、トマトには呼び接ぎを採用していますが、今年になって欠点も多く見えてきたし、来年以降続けていくかどうか悩んでいる状態です。


それでは、筆者にとって理想的な2022年のトマト呼び接ぎから。
台木、穂木共に、本葉1枚目の位置で接いでいます。



この場合、穂木を切り離した際も自立し、安定感もありました。
そして、次が2024年の呼び接ぎ。
台木、穂木共に、子葉の位置で接いでいます。



穂木と台木の生育が揃わず、仕方なく採用した方法ですが、穂木を切り離した際に(台木が細く)自立できずに倒れてしまいます。
ちなみに、リサイクルした台木(本葉の位置)を使った個体は、2022年同様に安定して自立しています。



これを見て気付いたのですが、呼び接ぎで穂木切断後に自立するかどうか?は、穂木と台木のパワーバランスに左右されると言う事です。
台木は接木時に成長点を止め、穂木は成長点もそれ以外の葉も残っています。
接木時に台木が少し大きくても子葉1枚では、ほぼ損傷の無い穂木とのパワーバランスがあまりにも悪く、生育に大きな差が出る。
結果、頭デッカチになってしまうのですね。



ちなみに、スイカやキュウリのようなウリ科の場合は、(穂木に比べて)台木が圧倒的に強いので話は違ってくるのですが…。
トマトに関しては可能な限り台木の戦力(根、茎、葉)を残さないと、穂木に負けてしまうようでした。



余談ですが、筆者は手が滑ってブった切ってしまった穂木や、一部の個体で(断根を含む)割り接ぎを採用しました。
今回は呼び接ぎよりも結果が良かったようです。
割り接ぎは穂木の根が無い為、呼び接ぎと違って(細胞が癒合するまで)生育が止まる。
穂木と台木の生育バランスと言う点で、理にかなっているのかな、と思います。


筆者は一応、穂木が脱落し難い割り接ぎの方法を知っていますが、面倒くさいとか、難しいと言う人向けに「接木チューブ」が存在します。



確かに、コストは掛かりますが、作業性が良いので、初心者にもオススメできる資材ですね。


さて、呼び接ぎも慣れれば苦にならないし、チューブのような便利な資材も流通していて、接木作業自体は誰でもできるハズです。
ただ、何度も言うように、接木適期の苗(穂木/台木)を用意する事が最も難しいし、今回の失敗の原因もそこに尽きるのです。
分かっていても繰り返す失敗…、農業は奥が深いですね。


今回のまとめ。


  1. 穂木と台木が揃っている場合は、本葉1枚目の位置で呼び接ぎを行う。
  2. 台木 < 穂木は失敗だが、台木 > 穂木で穂木が追いつかない場合は割り接ぎを行う。


何事も、特定の方法に依存しない事が重要です。