小型ビニールハウスで農業実験するブログ。

小型ビニールハウスによる「小さな農業」を応援すべく、農業資材や野菜品種を試して情報発信します。

キュウリの呼び接ぎ、自宅定植分。

遅くなりましたが、昨日(4/22)、自宅定植分のキュウリ(クラージュ2/ときわ硏究場)を接木したので記事にします。
筆者は売苗用のキュウリは生産効率重視で断根挿し接ぎを多用しますが、自宅定植分は生育スピードを重視し、多少手間が掛かっても極力呼び接ぎで仕上げるようにしているのです。



台木は…、いつものGT-2ですね。
パワーZ2から乗り換えてしばらく経ちますが、相変わらずときわ硏究場の台木は発芽揃いが良いです。



ときわ硏究場の台木は現在、GT-2、ぞっこん、がメーカー推奨になっているようです。
GT-2はパワーZ2よりも子葉がコンパクトで取り回しが良い台木です。
ぞっこんはGT-2に比べて足が伸び難い印象があり、筆者は滅多に使いません。
穂木とのバランスを取る必要がある呼び接ぎは勿論、挿し込む胚軸長を確保したい断根挿し接ぎでも、個人的にGT-2の方が扱いやすい為です。


それでは、呼び接ぎの様子を見ていきましょう。
ちなみに、今回の苗は適期より少し早い段階ですが、接木全般は晴天日の午後がベストなので(以降3日くらい天候が悪い)、天気に合わせる形で決行しました。


それでは、台木の成形から。



台木は台芽を取り除き、側面の皮を少し剥ぎます(子葉の付け根から1cm程度)。
続けて、使用の付け根から1cm程度、胚軸の半分くらい目安に切り下げます。


次に、穂木の成形です。



穂木は、子葉の付け根の約1cm下より、1cm程度薄皮を剥ぎます(重要)
削ぐと言うより、表皮を削るようなイメージで、軽く傷がつく程度に止め、極力胚軸径を維持するように努めます。
この作業の有無が最終的な接合部に強度に影響するので、面倒でも必ず行う必要があります。
その後、皮を剥いだ下部(子葉から約2cm程度下)から1cmくらい、胚軸径の2/3程度を目安に切り上げます。



接木適期であっても穂木は細いので、困難な場合は胚軸径の約半分まで30くらいの鋭角で刃を入れた後、垂直に切り上げる方法でも構いません。
この穂木の成形が、呼び接ぎの作業における最大の難所でしょう。



台木と穂木が済んだ後、両者を噛み合わせます。
その後、穂木の側からクリップで固定します。



穂木の切れ込みを、台木の切れ込みの上から差し込みようなイメージでやると分かりやすいでしょう。
これまでの手順で進めた場合、上から見ると、台木の子葉の上に、穂木の子葉が並行に乗るような形になります。



接木クリップは、サカタのタネの1号が広く普及していると思われますが、他に良い物があるかもしれません。


呼び接ぎの場合、接木と鉢上げを同時に行うので、事前に培土を詰めたポットを大量に用意すると良いでしょう。
また、キュウリは非常にデリケートな作物なので、培土の質を妥協すると苗質に大きく影響する点に留意してください。
プライムミックス TKS-2(サカタのタネ)のような高品質培土が理想ですが、価格的に厳しい場合はJAなどで近い品質の製品を探すと良いでしょう。



呼び接ぎの場合、ポットは(本葉3.5枚の定植苗であれば)12cmが理想ですが、培土のコストをカットする場合でも10.5cmは必要だと思います。



台木と穂木は後々切り離す作業がやりやすいよう、少し離して植え付けます。
また、苗の曲がりを軽減し、株元に光を入れる為、支柱を立てる事を強く推奨します。
個人的に、「呼び接ぎの極意は支柱にある」と思っているくらいです。



接木が済んだ苗は、当日~翌日は比較的ガッツリ目の遮光→2日目は軽めの遮光を行い、夜温も18度を目安に管理します。
以後は通常管理に移行し、10日を目安に穂木の切り離しを行います。


その過程は、また今度記事にします。