小型ビニールハウスで農業実験するブログ。

現状では自身の農業実験を記録→公開するに留まり、結果として一方的に発信するだけのブログになっている。

農薬の成分名から予測できる?小ネタ。

筆者が脱ネオニコチノイドに関心を持ってから、新しく農薬を買う前に安全データシート(SDS)などを確認する事も増えました。

また、殺虫剤と違い、殺菌剤は分類が細かくて難しいと思いますね…。


まぁ、似たような話題で、知人が興味深い事を言っていたので、ここで紹介しようと思います。

ズバリ、農薬の「成分名から系統などを予測する」と言うネタです。

少し例を見てみましょう。


○有機リン剤


成分名に「ホス」を含む。


例: ホスチアゼート(ネマトリン)、クロルピリホス(ダーズバン)。


「ホス」は「P(リン)」の意味なので、有機リン剤だと分かるのだとか。

実際にこれらの成分の化学式等を確認すると、「P」が含まれていました。

ただ、アセフェート(オルトラン)やダイアジノンのように、成分名に「ホス」が付いていない有機リン剤も結構有るので注意が必要ですね。


有機リン剤は急性毒性が強く、後発のネオニコチノイド剤は有機リン剤の代替としてシェアを拡大した経緯がある為、脱ネオニコチノイドなら原則使用できない、とされています。


○カーバメート剤


成分名に「カル」を含む、もしくは「ミル」で終わる。


例: カルバリル(デナポン)、ベンフラカルブ(オンコル)、オキサミル(バイデート)。


現在流通しているカーバメート剤は種類も少ないですが、急性毒性が強く、有機リン剤と同列に扱われる場合が多い印象です。

やはり、脱ネオニコチノイドの場合は使用できないと考えるべきでしょう。


○合成ピレスロイド剤


成分名が「リン」、もしくは「(ネ or レ)ート」で終わる。


例: ペルメトリン(アディオン)、フルバリネート(マブリック)。


家庭菜園でも人気のエトフェンプロックス(トレボン)は、この例に当てはまらないですが、合ピレも成分名で何となく分かるようです。


合成ピレスロイド剤は害虫の選択性が低く(天敵や有用生物に影響が大きい)、魚毒性が非常に強い、環境ホルモンの疑いがある、と言ったマイナスイメージがあります。

これらの剤も、ネオニコチノイド系の代替として使うには好ましくないと思われます。


○PFAS(有機フッ素化合物)


成分名に「フロ」、「フル」を含む。

例: スルホキサフロル(トランスフォーム/エクシード)、フルオピラム(ネマクリーン/オルフィン)。

「フ」はフッ素(F)の「フ」なのかな?、最近この例に当てはまる成分の農薬は多い気がするし、実際の化学式を確認すると「F(とC)」が含まれていますね…。


PFAS(有機フッ素化合物)は最近ニュースなどで話題になっており、身の回りのありとあらゆる物に使用されている為、実質排除して生活する事は不可能でしょう。

農薬も例外ではなく、(分解され難い=

安定なのか)むしろ新しく発表される新剤では増加傾向にあるようです。


PFASは悪いイメージが定着したようですが、該当する農薬は非常に多く、(有機JAS規格に拘る等の例外を除く)排除は非現実的です。

PFAS農薬に関しては、安全データシートの内容や現場の評価、価格などを含めて総合的に使用を判断する事になりそうです。



さて、筆者は物理や化学なんて全く畑違いの世界なのですが、今回のネタは素人にも分かりやすく、個人的には目から鱗でした。

確かに、脱ネオニコチノイドのように特定の農薬を避けて縛りプレイに走ると、アレもダメ、コレもダメ、と制約がエスカレートしがちになります。

最近では、有機塩素系の殺菌剤(TPN、キャプタン、イプロジオン)、ベノミル、マンゼブ、チウラムあたりも環境に配慮して(栽培期間中は)避けようとか。

医薬用外劇物(毒物)や、ADIが低い剤は避けようとか、自分でもコスパの悪い方向に進みそうな予感はしますね。